スズキは、小さな車体と広い室内空間を両立させ、両側スライドドアを採用したワゴン「ソリオ」を発売した。ソリオという名前は以前からあり、軽自動車「ワゴンR」の幅を広げて小型車にしたものだった。今回のソリオは、その後継車という位置づけではなく、「国内市場専用の背の高い小型ワゴン」という、同社が今まで対応していなかった市場を狙う。なお、この車種を2011年春から三菱自動車に対してOEM供給する。

 街中での取り回しを重視し、全長を3710mmと、クラス最短にした。ここでクラスというのは排気量1.5L以下、全高1550mm以上の2列座席5ドアワゴン。トヨタ自動車の「ラクティス」「ラウム」「bB」、日産自動車の「キューブ」、ホンダの「フリードスパイク」などの車種が入る。
 全幅は1620mmに抑えた。この数字は「超えると駐車場に収まらなくなるお客様が多い」と営業の現場から強く要求されたもので、国内専用車種である同車として重要なセールスポイントだという。
 室内長は「G」グレードで2130mm、室内高は1345mmで、これは逆にクラス最大(図)。クラス最短の車体で、クラス最長の室内を実現したことになる。「クラス最大」以外の数字でも、室内幅が1415mm、前後間乗員距離が1025mmと、大きな寸法を確保した。
 前席左右のシートクッションの間隔は180mmと広くし、前後シート間の移動をしやすくした。狭いところに駐車して前のドアが開かない場合や、豪雨のため傘をさしたままスライドドアから降りたい場合などに便利だ。

以下、『日経Automotive Technology』2011年3月号に掲載
図 各部の寸法
クラス最短の全長に、クラス最長の室内を収めた。