国内市場の需要減と新興国での市場拡大に対応するため、自動車産業はこれまで以上に部品コストを削減しなければならない。これに伴って調達先の集約が進むとともに、海外部品メーカーとの競争も激化していく。このため、中堅部品メーカーは最大の成長市場である中国を避けては通れない。中国市場での成功の道を探る。

 ローランド・ベルガーでは、2008年から2020年における市場別、部品別の市場規模を予測している。それによると、日本の部品市場はパワートレーン、シャシーでわずかに増えるものの、外装、内装、車載情報システムは低下する(図)。
 日本自動車部品工業会の統計では、2008年度の自動車部品の総出荷額は17.9兆円である。このため、図1による市場変動の合計である2000億円だけを見れば大きな影響はないように見える。しかし、市場の拡大幅だけで6.2兆円となる中国は、年間の自動車販売台数が2000万台にも達しようという世界最大の市場。そこを攻めない限り、発展は見込めない。
 一方、欧州、米国ではパワートレーンの電動化によってエレクトロニクス部品の成長が見込まれる。また、ASEAN(東南アジア諸国連合)でも他の新興国同様に伸びが期待できる。ただし、欧米ではすでに部品メーカーの勢力図が固まっており、日系部品メーカーが新規参入する余地は限られる。また、ASEANは日系の自動車メーカーが強く、従来の取引慣習の中で日系部品メーカーもある程度拠点を展開できている。こうしたことから、新規の取引先を開拓する、さらにはグローバル競争において生き残る力を付けていく上で、最も重要な市場は、世界規模の自動車メーカー、部品メーカーが競争を繰り広げる中国であるといえる。

以下、『日経Automotive Technology』2011年3月号に掲載
図 市場別・部品別市場規模の拡大分(2008~2020年)
日本における部品市場は縮小傾向にあるのに対し、中国は6.2兆円拡大する。
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