3次元CADを導入したが、なかなか開発プロセスの効率化が進まない──。そう悩んでいる企業は少なくない。この悩みは、新しい機能を持ったツールを導入したからといって解決するものではない。3次元設計に取り組んではいるが、十分な効果が得られていない企業の体質のどこに問題があるかを分析し、その結果に応じた改善方法を選択できるスキルを、本コラムでは伝授します。

 本連載ではこれまで、3次元CADの効果的な運用を行うための改善ポイントや、製品視点からの改善としての標準化、モジュール化について紹介してきた。今回と次回の2回では、「不具合の未然防止」を目的とした仕組み構築のポイントについて解説する。

 まず、筆者らが提唱する3次元開発プロセス構築のための方法論である「3D-DPRM」における不具合の未然防止の位置付けについて説明する。3D-DPRMでは、3次元設計をベースとした開発プロセス構築に向けた取り組みをAからHまでの8グループに分類し、それぞれに属する活動テーマを確実に定着させていく(表)。

 具体的には、3次元CADの導入(グループA)から始まり、3次元形状の構築方法や運用ルールの定着(同B)によって3次元設計の強固な基盤づくりを目指す。それが終わると、3次元CADを使って効率的な開発業務ができるよう、3次元設計手法を定着させるための抜本的な見直し(同C)を行って、3次元設計の効率向上と活用の拡大を図り(同D)、効果を刈り取れる(同E)ように取り組みを進めていく。

〔以下、日経ものづくり2011年2月号に掲載〕

表●3次元設計をベースとした開発プロセス構築に向けた取り組み
今回は、グループHの中の「不具合の未然防止」について取り上げる。

宮木邦宏(みやき・くにひろ)
O2 技術ディビジョン シニアコンサルタント
大手精密メーカー、3次元CADシステム・ソリューション・ベンダーを経て、O2(本社東京)へ参画。3次元CADシステムビジネスに黎明期から携わり、特に3次元生産プロセス改善では、常に業界をリードしながら手法開発およびシステム製品企画開発を行ってきた実績を持つ。O2では、これら27年に及ぶ経験を生かし、「3D-DPRM」の開発を主導する。
O2(http://www.o2o2.co.jp/)は、設計開発領域を専門とするプロ集団。業務プロセス改革から高度な技術課題解決までを総合支援。3D-DPRMなど独自の方法論を提唱し続ける。