半導体技術の開発現場が活況を取り戻しつつある。2010年12月上旬に米国サンフランシスコで開催された「IEDM 2010」では,メモリやロジック,3次元ICなどの分野で,世界初の試みや,集積度や動作速度などで世界記録を達成した技術に注目が集まった。
「Si CMOS技術は10nm世代よりも先に延長できる。3次元積層技術やEUV露光技術などの新構造・新材料・新プロセスをきちんと導入できれば,Si CMOS技術が主流であり続けるだろう」──。
半導体製造技術関連の国際会議「2010 IEEE International Electron Devices Meeting(IEDM 2010)」が2010年12月6日,韓国Samsung Advanced Institute of Technology(SAIT)のPresidentを務めるKinam Kim氏の冒頭にある力強い言葉で幕を開けた。
Kim氏の基調講演は,半導体技術の先行きが決して暗いものではないことを聴講者に印象付ける内容となった。国際学会などでは,このところ半導体技術の先行きを議論する場において,微細化に伴う技術的な難しさなど,とかくネガティブな側面が強調されることが多かった。例えば,「NANDフラッシュ・メモリやDRAMでは,20nm前後で微細化が止まりそうだ。技術的な障壁がドンドン高まっている」といったトーンである。
これに対して,今回のKim氏の講演は,現行技術が抱える課題を認めつつも,将来的な技術進化の道筋まできちんと示した点で,「大いに勇気付けられた」(聴講した複数の半導体製造技術者)との声が相次いだ。例えばDRAMでは,2015年までに面積が4F2(Fは最小加工寸法)という小面積メモリ・セル技術,およびデータ転送速度の限界打破に向けた二つの技術,すなわちSi貫通ビア(through silicon via:TSV)の採用や,DRAMチップ上への光入出力回路の集積などを進めることで,技術進化を継続できるとした。