「技術者のための最新中国事典」は、中国に詳しいコンサルタントであり、現役の技術者でもある遠藤健治氏が、最新の中国事情を伝えるコラムです。変化が激しい中国のものづくりや市場、人々の文化や習慣など、日本企業のビジネスチャンスにつながり得る「今」の情報を素早く捉え、独自の分析や対策などのヒントを技術者向けに提供します。

 「日本ではよく『営業は売ってなんぼ』といわれますよね。でも、ここ中国では違います。それをいうなら、『営業は代金を回収してなんぼ』。端的にいえば、製品を10台も売ったけれども代金回収率が低い営業担当者よりも、製品を5台しか売っていないにもかかわらず代金回収率は100%という営業担当者の方が高く評価されるということです」。

 先日、中国でお会いした斉藤さん(仮名)が、私にこう話してくれました(図)。斉藤さんは、ある日系メーカーの中国工場で副総経理*1を務めており、中国市場における販売の権限と責任を担っている方。つまり、この話は、営業部門のトップとしての実感というわけです。

〔以下、日経ものづくり2011年1月号に掲載〕

図●「営業は代金を回収してなんぼ」
販売台数が少なくても、代金回収率が高い営業担当者の方を評価する中国企業は多い。

遠藤健治(えんどう・けんじ)
技術者・海外進出コンサルタント
日本と中国を含めたアジアのものづくりに詳しい技術者で、海外進出コンサルタント。京セラ入社後、開発部、生産技術部、品質保証部に勤務。中国工場における製造業務指導が評価され、同社を退社して精密機器メーカーの中国工場にて製造部長や品質部長を務める。現在、業務用機器メーカーの技術者として日本と中国を股に掛けて活躍中。著書に『日系中国工場製造部長奮闘記』『中国低価格部品調達記』(共に日経BP社)などがある。