電気ストーブの事故原因は、消費者の誤使用や不注意よりも製品自体の欠陥であることが多い──。こうした実態が、製品評価技術基盤機構(NITE)の調査で判明した。中でも目立っているのが、ハロゲンヒーターでの事故だ。価格の安さや扱いやすさもあって普及したハロゲンヒーターだが、製品寿命が一般的な家電よりも短い上、粗悪な製品も少なくない。

 調査対象は、2005~2009年度(2005年4月~2010年3月)に起きた999件の電気ストーブによる事故。そのうち原因を特定できた665件の事故について内訳を見てみると、誤使用や不注意など使用者に落ち度があった事故が282件なのに対し、設計/製造/表示など製品に何らかの欠陥があった事故(製品起因の事故)は383件と、100件以上多かった。

 製品起因の事故を製品の種類ごとに分けると、ハロゲンヒーターが253件と圧倒的に多い(図)。つまり、電気ストーブの事故のうち製品起因のものは、大半がハロゲンヒーターで起きていることが分かる。

 ハロゲンヒーターで事故が頻発していることは、NITEや国民生活センターといった製品安全に関する行政機関が以前から再三指摘していた。部品の不具合など設計上の欠陥が発覚し、リコールになった製品も多い。しかし、製品の回収や情報の周知がなかなか進まず、事故の頻度も依然として高い水準にある。

 暖房器具である電気ストーブの事故が起きる時期は、当然冬場に集中している。NITEがこのタイミングで前述の調査結果を公表したのは、今後さらに電気ストーブの利用機会が増えることを見越して、使用者の注意を喚起する意味もある。だがそれ以上に、危険な製品がいまだ市場に出回っていることへの危機意識が強い。

〔以下,日経ものづくり2011年1月号に掲載〕

図●2005~2008年度に発生した電気ストーブによる製品起因の事故の件数
種類別にまとめた。ハロゲンヒーターでの事故が圧倒的に多い。2009年度の種類別の内訳は、NITEからまだ公表されていない。