電気自動車(EV)が普及するか否かの試金石となるクルマ、「リーフ」を日産自動車が発売した(図)。同車は世界で大量生産・販売することを前提に設計開発されたEV専用車だ。しかも、売れ筋の「ファミリカー」、すなわち、5ドア(ハッチバック)タイプのコンパクトカーである。200V電源を使って約8時間で満充電に達し、1充電航続距離はJC08モードで200km(USLA4モードで160km)だ。リチウム(Li)イオン2次電池の寿命については「10年で走行距離が10万km程度なら交換は不要」(同社の技術者)。競合がひしめく中、初めて市販するEVでありながらも同社はいきなりのヒットを狙う。まずは2010年12月に日本と米国で販売し、2011年初めからは欧州の一部の地域で販売を開始する。そして、2012年にはその他の国や地域を含めてグローバルに販売していく構えだ。

〔以下、日経ものづくり2011年1月号に掲載〕

図●日産自動車のEV「リーフ」
(a)は外観。充電ポートを車体前方に設けた。(b)はEV専用プラットフォーム。重く大きな電池パックを車体中央の床下に配置して低重心にするとともに、重心を車両の中心に近づけて操縦安定性を高めた。駆動源であるモータとインバータを“エンジンルーム”内に搭載するFF方式を採用し、車内空間を広げている。エンジンを搭載しないため、平滑な形状のフロアとテールパイプレスも実現している。