NTTドコモが家電機器の電力可視化サービスを開発

 家電機器などの電力を管理する「HEMS(home energy management system)」事業にNTTドコモが参入する。同社は,無線送受信ICを内蔵した電源コンセントやインターネット接続用のゲートウエイ機器,収集した電力関連データを処理するシステムを開発中であることを明らかにした。

 スマートフォンや携帯電話機を使い,電源コンセントに接続された家電機器の電力消費量の「見える化」や,機器の遠隔操作が可能なサービスを始める方針だ。2010年度内の実用化を見据えているもようで,価格は「月額で数百円程度」(NTTドコモ フロンティアサービス部 環境事業推進担当部長の坪谷寿一氏)と安価にする考えである。現在は同社の社員を対象にした実証実験に取り組んでいるという。

 近年,HEMS事業には,シャープやパナソニックをはじめとした大手家電メーカーが精力的に取り組んでいる。再生可能エネルギーや次世代電力網「スマートグリッド」の盛り上がりに合わせて,住宅内のエネルギー管理に注目が集まっているためである。そうした中,通信事業大手のNTTドコモもHEMSに触手を伸ばした。

 同社は,家電メーカーが開発しているHEMSと比べた自社サービスの優位点として,自ら機器を手掛けていないことを挙げる。「家電メーカーはHEMSを使い,自社の機器をユーザーに購入してもらうことを狙った“囲い込み”に走りがち。我々のような通信事業者の場合,家電機器はユーザーに自由に選んでもらっても問題がなく,利便性の高いサービスを提供しやすい」(坪谷氏)とする。

『日経エレクトロニクス』2010年12月13日号より一部掲載

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