ガソリンエンジンの電子制御燃料噴射システムで欠かせないのが、燃料噴射用のインジェクタだ。燃料と空気の混合割合が理論空燃比となるように正確に燃料を噴射することで、三元触媒による排ガスの浄化効率を高める。ホンダ向けに1983年から電子制御式インジェクタを供給し始めたケーヒンにその進化を聞いた。

 1970年に米国でマスキー法が制定されると、排ガス規制が次第に強化され、キャブレタに代わって電子制御式燃料噴射システムが登場した。エアフローメータで空気量を測り、理論空燃比となるようにインジェクタの燃料を調量することで、三元触媒による浄化効率を高められる。
 主にホンダ向けの燃料系部品を手がけるケーヒンが最初に電子制御式インジェクタを実用化したのは1983年型のホンダ「シティターボ」向けだった。この「KN-1型」は改良を重ねることで、2005年に生産を終えたスポーツカー「NSX」まで20年以上に渡って使われた(図)。

以下、『日経Automotive Technology』2011年1月号に掲載
図 ケーヒンのインジェクタとその進化
初期の製品は外装がステンレス鋼製であったが、近年は樹脂製とし、小型・軽量化している。