新興国の台頭で世界の自動車市場はどう変わるのか、パワートレーンの電動化は自動車産業をどう変貌させるのか――。日経Automotive Technologyは日経ビジネスと共同で「2010自動車イノベーション会議」を都内で開催した。自動車産業のこれからについて、熱心な討議が交わされた。

 基調講演で最初に登壇した日産自動車社長兼CEO(最高経営責任者)のCarlos Ghosn氏(図)は、世界の自動車産業は好調で「今年は生産台数が7000万台に達し、過去最高を更新する」との見通しを語った。こうした中、日本メーカーだけが直面している問題として同氏が挙げたのが円高。
 同氏によれば、購買力平価から考えられる適正な円レートは1ドル=106円程度。これに対し現在の1ドル=80~82円という水準は25%近くも割高で、日本メーカーは国内生産を維持できないと訴えた。そのうえで「技術力とノウハウの源泉は日本にある」とし、その役割を今後も守る考えを示した。

以下、『日経Automotive Technology』2011年1月号に掲載
図 基調講演で登壇した日産自動車社長のCarlos Ghosn氏
「私たちの技術力とノウハウの源泉は日本にある」と語る。