マツダは、次世代車両技術「SKYACTIV」を発表した。エンジン、変速機、車体、シャシーといったクルマの基本部分をすべて刷新するという巨大プロジェクトだ。モータによるアシストなしに30km/Lの燃費を実現、ガソリンエンジンでもディーゼルエンジンでも圧縮比14.0、車体質量の100Kg軽量化―など、画期的な数字を達成した同技術の全貌に迫る。

 2011年前半に発売する次世代エンジン搭載の「デミオ」で、モータによるアシストなしに、10・15モード燃費30km/Lを実現する──。マツダが10月20日に発表した次世代車両技術「SKYACTIV(スカイアクティブ)」は、自動車業界で大きな反響を呼んだ。というのも、30km/Lという燃費が、マツダの発表に先立つ10月8日にホンダが発売した「フィットハイブリッド」と同じ数字だったからだ。

企業体質の強化にもつなげる

 マツダが開発した次世代車両技術「SKYACTIV」は、以下のような六つの要素技術から成る。
(1) ガソリンエンジンとしては世界一の高圧縮比14.0を実現した高効率直噴ガソリンエンジン 「SKYACTIV-G」
(2) ディーゼルエンジンとしては世界一の低圧縮比14.0を実現したクリーンディーゼルエンジン 「SKYACTIVD」
(3) 伝達効率を向上した自動変速機「SKYACTIV-Drive」
(4) 軽快なシフトの感触と大幅な軽量・小型化を実現した手動変速機「SKYACTIV-MT」(図)
(5) 高い剛性と、最高レベルの衝突安全性を実現した軽量車体「SKYACTIV-Body」
(6) 正確なハンドリングと快適な乗り心地を両立した高性能軽量シャシー「SKYACTIV-Chassis」
 こうした要素技術については、後で詳しく説明していくが、マツダのSKYACTIVの最大の特徴は、エンジンだけ、車体だけの改良ではなく、車両全体を包括的に刷新した点にある。

以下、『日経Automotive Technology』2011年1月号に掲載
図 新型手動変速機「SKYACTIV-MT」
軽快なシフトの感触と大幅な軽量・小型化を実現した。