パナソニックは、ロボットハンド技術を生かして洗髪ロボットを開発した。16個の“指先”によるもんでこする動きによってシャンプーによる泡洗浄を器用にこなす。高齢化が進む中、福祉/介護施設や病院において、職員の作業負担を軽減し、要介護者や患者などの快適性を高める。2012年の発売を目指す。

 パナソニックは、「洗髪ロボット」をはじめとする、自社が取り組んでいる新世代ロボット事業の中核を担うロボットを次のように定義している。すなわち、(1)センサによる認識、(2)マイコンによる知的判断、(3)アクチュエータによる駆動、という3つの要素を兼ね備えたもの、である。

 基本的には人の動作が主体であり、ロボットはあくまでアシストするという考え方だ。従って、ホンダの「ASIMO」に代表されるような2足歩行の人間型ロボットを手掛ける計画は、パナソニックには今のところない。

 こうしたパナソニックの新世代ロボット事業は、2009年度で売り上げ約10億円の規模とみられる。これを、2015年に同1000億円にまで拡大する計画だ。新世代ロボット事業は、「医療福祉」「生活」「製造」の3分野に絞り込んでおり、このうち前の2分野が従来のロボット利用分野とは異なる領域となる。洗髪ロボットは、2015年に同300億円を目指すという医療福祉分野で先陣を切って開発されたものだ(図)。

〔以下、日経ものづくり2010年12月号に掲載〕

図●パナソニックが開発した
洗髪ロボット