「山田日登志のこれがムダなんや」は、生産現場におけるムダとりのコツをクイズ形式で学べるコラム。実在する工場で見つかったムダの写真から、そのどこにムダがあるかを見つけ出すことで「ムダとりの目」を養ってもらうことを狙う。

 今回も前回(2010年11月号)に引き続き、農業機械などを開発・製造・販売する山本製作所を舞台に、台車活用のポイントを学ぶ。前回は、外注先からの納入部品を扱う台車を取り上げたが、今回は、社内工程間で物を受け渡す台車を主な題材とする。

 2010年7月某日、この日のカイゼン活動が終盤に差し掛かったころ、あるイベントが開催された。事前に、同社工場のスタッフと山田日登志氏主宰の研修に参加するメンバーたちが、チームに分かれてそれぞれの台車を製作。それらの台車を山田氏らが評価・採点する「台車コンテスト」である。

「ちょっと説明してくれるか」

 山田氏が言うと、工場スタッフの1人が自分たちで作製した台車の説明を始めた。その台車は穀物乾燥機の生産ラインにおいて、溶接工程でできた大型部品を次の塗装工程へ運ぶためのもの。運用方法は上の図の通り。台車3台を2工程でぐるぐる回すのだ。このように台車を運用すると、あるムダが省けるのだが、それは何だろうか。

〔以下、日経ものづくり2010年12月号に掲載〕

山田日登志(やまだ・ひとし)
トヨタ生産方式を270社に導入した経験を持つコンサルタント。岐阜県生産性本部在籍中に大野耐一氏と出会い、1971年から師事。1978年にカイゼン・リーダーを育成するPEC産業教育センターを設立し、所長に就任。ソニーを指導中にセル生産の基礎を築いた。