3次元CADを導入したが、なかなか開発プロセスの効率化が進まない──。そう悩んでいる企業は少なくない。この悩みは、新しい機能を持ったツールを導入したからといって解決するものではない。3次元設計に取り組んではいるが、十分な効果が得られていない企業の体質のどこに問題があるかを分析し、その結果に応じた改善方法を選択できるスキルを、本コラムでは伝授します。

 設計の標準化とモジュール化の取り組みでは両者を明確に分けること、そしてこれらを設計プロセスの「機能設計」と「形状設計」それぞれに対して適用することが、筆者らの手法の特徴である。今回から2回にわたって、標準化とモジュール化を実現するための実行手順(実際の作業の流れ)を取り上げる。実行手順を、標準化とモジュール化、機能設計と形状設計という4つのキーワードで整理すると、図のようになる。今回はまず、機能設計における標準化の作業(1)~(5)と、同モジュール化の作業(6)を説明する。

 機能設計は、主に設計対象が形状に落とし込まれる前の段階のため、仕様や設計諸元といった概念的な情報だけが存在している。従って、純粋に機能や性能を実現するための設計手順やロジックに焦点を当てており、特定の仕様を前提とした形状や派生機種などは考慮しない。

〔以下、日経ものづくり2010年12月号に掲載〕

設計の標準化・モジュール化の実行手順
今回は機能設計を対象とした標準化・モジュール化(1~6)について説明する。なお、図の手順では、標準化の対象となる製品ファミリーがどのような仕様の範囲をカバーするのかについては定義済みであることを前提としている。
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大泉圭一(おおいずみ・けいいち)
O2 技術ディビジョン コンサルタント
国内自動車メーカーでの生産技術、3次元CADベンダーでのコンサルタント、PLMソリューションベンダーでのコンサルタントなどを経て、O2(東京本社)に参画。主に、標準化・モジュール化のコンサルティング活動に従事。O2のさまざまな経験を持ったコンサルタントと共に、O2独自の手法を開発し、顧客に提供している。
O2(http://www.o2o2.co.jp/)は、設計開発領域を専門とするプロ集団。顧客企業の業務プロセス改革、高度な技術課題解決を総合的に支援。3D-DPRMなど独自の方法論を持つ。