写真:栗原克己

 日産自動車は、電気自動車(EV)「リーフ」を間もなく日米で発売しますが、滑り出しは極めて順当です。予想通りですね。日本では2011年3月までの予約台数である6000台、米国でも2万台の予約が入っていて、補助金等の関係で一時的にですが予約の受け付けを止めています。

 予約の約6割が、個人のお客様です。EVは航続距離が短いとか価格が高いとかいろいろネガティブな指摘を受けますが、前向きに見てくれるお客様がとても多い。もちろん、まだ完成形ではありませんし、開発すべきことは山ほどある。実際にお客様がリーフに乗られてからの評価もこれからです。しかし、課題があるからといって、ネガティブに考えて何かいいことがあるのでしょうか。不思議なことに、海外よりも日本国内の方がEVに対して懐疑的な見方が多い。どこかで誰かがネガティブなことを言っているのでしょうか。
〔以下、日経ものづくり2010年12月号に掲載〕(聞き手は本誌副編集長 高田憲一)

山下光彦(やました・みつひこ)
日産自動車 取締役副社長
1953年4月生まれ。1979年3月に京都大学大学院航空工学修士課程修了後、同年4月に日産自動車入社。1983年6月から 米Massachusetts Instituteof Technologyに留学。1996年7月に日産リサーチ&デベロップメントに出向。2000年5月に日産自動車第一車両開発部主管、2001年2月に同部部長、2002年4月に日産テクニカルセンターノースアメリカ出向。2004年4月に日産自動車常務執行役員、2005年4月に副社長。現在は同社取締役副社長として、研究・開発、TCSX(トータル カスタマーサティスファクション ファンクション)を所管している。