需要家だけではなく,電力の供給側の出力も制御

 トヨタ自動車,日本風力開発(JWD),パナソニック電工,日立製作所の4社は,青森県・六ヶ所村で実施中のスマートグリッドに関した実証実験を公開した。

 この実証実験が他のスマートグリッドの実験と大きく異なる点は,電力事業者による電力系統とほぼ独立したマイクログリッド内において,風力発電システムと太陽光発電システム,および大型蓄電池だけで,6棟の住宅に電力を供給する点である。発電源が稼働時にCO2をほとんど出さないため,CO2削減の大きな効果が期待できる。参加企業は,「風任せ,天気任せの電力でも石油や天然ガスによる電力と同様に使えることを証明する」(JWD)と意気込む。

 実験期間は2010年秋~2014年秋の4年間を予定するが,4社だけのプロジェクトで国や地方自治体からの助成金をほとんど受けていないため,「予定を前倒しした早期の事業化も容易にできる」(4社)という。

分散電源の出力はまず蓄電池に

 この実験の目的は二つに大別される。一つは,マイクログリッド全体での電力の配分などを最適制御する「CEMS(community energy management system)」の実証。もう一つは,住宅内の電力需要を最適化する「HEMS(home energy management system)」の運用である。

『日経エレクトロニクス』2010年11月29日号より一部掲載

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