世界最大規模のカメラ関連の展示会「photokina 2010」が,2010年9月21~26日にドイツ・ケルンで開催された。話題の中心はミラーレス・カメラ。前回のphotokina 2008で産声を上げた同市場が,今後,大きな成長を遂げる準備が整った。コンパクト型デジタル・カメラでは大判の撮像素子を使った高級機種や,芸術性をとことんまで高めた画像を撮影できる機種が登場した。

 「2012年に世界一のカメラ・メーカーになる。その原動力はミラーレスのレンズ交換式カメラだ」──。

 韓国Samsung Electronics Co.,Ltd.のデジタル・カメラ事業を統括するSang-Jin Park氏(Digital Imaging Division, President)は,こう宣言した。翌日に開幕を控える「photokina 2010」を前に,同社が開催したプレス・ブリーフィングでの一幕である。今後,急成長が期待されるミラーレス・カメラ市場を制することで,コンパクト型デジタル・カメラを含めたカメラ市場全体で主導権を握る構えだ。

 Samsung社の“先制パンチ”で開幕を迎えた今回のphotokina。2年に1度開催されるこの祭典に合わせ,カメラ・メーカー各社はこぞって新製品を投入した。来場者は18万人を超え,会場のあちこちでは真剣なまなざしで新製品を手に取る様子が見られた。

 話題の中心は,ミラーレス・カメラだった。ミラーレス・カメラはその名の通り,ミラー・ボックスを備えないレンズ交換式デジタル・カメラである。デジタル一眼レフ・カメラで用いる光学式ファインダー(optical view finder:OVF)の代わりに,電子式ファインダー(electric view finder:EVF)を使う。EVFの体積と重さは,OVFとミラー・ボックスに比べて半分未満で済むため,カメラの小型・薄型化が容易になる。

 ミラーレス・カメラでは,撮像素子は一眼レフ・カメラと同じ,大判の品種を採用する。このため,小型・薄型にもかかわらず,美しく背景をぼかすなど表現力が豊かな写真を撮れる。動画撮影機能にも力を入れており,オートフォーカス(AF)がきちんと動作する機種も出てきている。

『日経エレクトロニクス』2010年11月1号より一部掲載

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