工場内で物を運ぶ台車は、工夫をすれば1台で何役もこなせる優れもの。今回から、農業機械などを開発・製造・販売する山本製作所に舞台を移し、台車をフル活用する方法を学ぶ。
同社は2003年からカイゼン活動をスタートし、2007年から山田氏指導の下、平準化や工程の同期化を進めてきた(2008年4~8月号の「ドキュメント工場」を参照)。
2010年7月某日、山田氏は同社を訪問。いつものように穀物乾燥機の生産ラインの合間を進むと、工場スタッフと山田氏主宰の研修に参加するメンバーたちが台車の運用方法を検証していた。この日の最後に、台車コンテストが開催されるからだ。
「おお~ぅ。これはええですよ」
山田氏は、最初に現れた1台を見るや感嘆の声を上げた。協力工場の納入部品を塗装工程に運ぶ台車である。
新しい台車を導入する前の運用方法は上の図の通り。この中に隠れているムダとは何か。また、そのムダを省ける台車とはどのようなものか。
〔以下、日経ものづくり2010年11月号に掲載〕