「スマートシティ」と呼ばれる都市計画が、世界で一斉にスタートした。プロジェクトの総数は300~400にも上るとみられている。スマートシティとは、ITを駆使することによって、エネルギや資源などを効率よく使う、環境に配慮した都市のこと。都市を丸ごとつくり変える、あるいは新しくつくるプロジェクトだけに、エネルギや水、建築などのインフラ産業を中心に、大きな市場が期待されている。

 このうち製造業にとって特に注目されるのが、エネルギ分野である。太陽光発電などの再生可能エネルギや、電気自動車(EV)をはじめとする次世代自動車など低炭素型の製品が大量に導入される。それに伴い、系統電力網を安定化するための蓄電池や送配電網の市場が拡大する。日経BP社の環境系シンクタンクである日経BPクリーンテック研究所が主要なスマートシティ・プロジェクト100カ所を調査し、それを基に蓄電池や次世代自動車などの要素ごとに予測した結果、市場規模は2030年に累積で3100兆円に上ることが明らかになった(図)。

〔以下、日経ものづくり2010年11月号に掲載〕

図●スマートシティの項目別累計市場規模
市場規模はすべて累積で計算した。従って、ここに示した棒グラフは、単年のものではない。(日経BPクリーンテック研究所)