製造業務への労働者派遣の原則禁止を盛り込んだ労働者派遣法改正案が、今国会(第176回臨時国会)で議論されている。そんな中、大手メーカーの多くは改正案が成立した場合を考慮し、既に「脱派遣」の動きを加速させている。その代表的な手段が、期間工(契約社員)への切り替えだ。これがコスト増になる構図が、ここのところ明らかになってきた(図)。

 2004年の製造業務派遣の解禁以来、メーカーは工場における派遣労働者の活用を進めてきた。派遣人材の費用の中には、労働者への賃金のほかに採用や労務管理にまつわるコストも含まれている。直接雇用する場合に比べて費用は高くなるが、採用や労務管理の手間が省ける点に魅力があった。

〔以下、日経ものづくり2010年11月号に掲載〕

図●短期労働者の人件費の増大
派遣労働者を活用する場合は、派遣会社に採用と労務管理を任せる。しかし、期間工に切り替えると、採用と労務管理を自社で実施する必要がある。多くのメーカーはその人材とノウハウを持たないため、業務を外部に委託している。その結果、1人当たりの人件費が増えている。