2010年9月6~10日にスペインのバレンシアにおいて,太陽電池関連の学会「EU PVSEC」が開催された。世界中から4540人の研究者が集まり,太陽電池の発電コストの削減に不可欠な変換効率の向上と製造コストの引き下げに関する技術を議論した。

セル変換効率23%の単結晶Si型太陽電池セルの量産開始へ

 再生可能エネルギーの旗手として注目を集める太陽電池。各国の補助制度や環境意識の高まりによって,住宅や店舗,工場,大規模発電所などへの設置が急速に進んでいる。しかし,従来型の発電手法に比べると,発電コストはまだまだ高い。

 新エネルギーを根付かせるためにも,太陽電池の発電コスト削減は不可欠だ。そのためには変換効率の向上と製造コストの引き下げによる,太陽電池システムの導入コストの低下が必要になる。高効率化は設置面積や工事費の削減などにつながり,製造コストはモジュール価格に直結するからだ。2010年9月に開催された太陽電池関連の学会「EU PVSEC」では,これらの課題の解決につながる最新技術を携えた研究者が集結し,熱い議論を交わした。そこで見えてきたのは,高効率もしくは低製造コストのどちらかを極めなければ市場の要求を満たせず,太陽電池メーカーとして勝ち残れないという現実だった。

高効率で価格を維持

 「高い変換効率のおかげで,太陽電池モジュールの価格を予想以上に高値に維持できている」(米SunPower Corp., President EmeritusのRichard Swanson氏)。高効率化で業界をリードしているSunPower社は,EU PVSECにおいて,モジュール価格の推移グラフを示しながら自信満々にこう述べた。

『日経エレクトロニクス』2010年10月18日号より一部掲載

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