電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)の燃費を向上させる技術の一つがブレーキだ。熱として捨てていたエネルギを、EVやHEVでは回生エネルギとして利用できる。ただし回生だけでは十分な制動力(減速度)を生み出せない。今後は、回生ブレーキと油圧ブレーキが協調する「回生協調ブレーキ」が主流になる。

 米TRW Automotive(TRW)社は、油圧ブレーキと回生ブレーキが協調して動作する「回生協調ブレーキ」を開発・実用化している。回生協調ブレーキは、アクセルペダルから足を離したときや、ブレーキペダルを踏み込んだときに作動するもの。
 回生ブレーキは、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)の駆動用モータを発電機として使うことで、制動力を発生する。制動時には、電気を発生させ電池を充電できるため、従来の油圧ブレーキに比べて、エネルギを有効に利用できるのが特徴だ。
 当社は回生協調ブレーキのうち、全体の制御システムと油圧ブレーキを担当している。回生ブレーキだけでは十分な制動力を発生できないため、油圧ブレーキを制御することで、従来と同等の快適性、制動力を提供する。
 回生ブレーキは、駆動モータのECU(電子制御ユニット)と協調するタイプのほかに、モータECUと協調しないタイプがある。協調しないタイプの回生ブレーキは、ブレーキ・バイ・ワイヤではない従来の構造であるケースが多い。あたかも、エンジンブレーキのように効き、ブレーキペダルを踏んでも反応しない。

以下、『日経Automotive Technology』2010年11月号に掲載