見通しの悪い交差点などで、クルマと歩行者がぶつかる事故を防ぐにはどうしたらよいか。解決法の一つとして期待されているのが、歩行者とクルマが無線通信し、ぶつかる危険性がある場合には、相互に注意を促す“歩車間通信システム”である。

 沖電気工業は、歩行者とクルマが無線通信することで衝突事故を防ぐ“歩車間通信システム”を開発した(図)。
 歩行者の端末とクルマの車載器が、GPS(Global Positioning System)の位置情報などを交換し、受け取ったデータを基に衝突の危険性が高いと判断すると、歩行者には音や振動で、運転手には音や表示で注意を促す。
 当社は2009年に、歩車間通信の開発において、歩行者用の通信端末「安全携帯アタッチメント」を試作した。クルマ側の車載器は現在実用化検討が進められている車々間通信装置をベースとしているため、開発は比較的容易だ。
 一方の歩行者用の端末は、新たに開発する必要がある。試作した端末で重視した点は、通信性能や情報処理性能に加えて、携帯性や実用化時のコスト。性能が優れていても、コストが高い、もしくは歩行者が携帯しにくいものであれば、普及は期待できない。
 安全携帯アタッチメントは、携帯電話に接続する端末本体と、ストラップアンテナで構成する。端末本体は、アプリケーション部、GPS受信部、歩車間通信/ 処理部、歩車間通信アンテナなどからなる。

以下、『日経Automotive Technology』2010年11月号に掲載
図 開発した歩車間通信システムの構成
歩行者とクルマの間を無線でデータ通信し、位置情報などを伝える。衝突の危険性がある場合は音や振動で歩行者や運転者に注意を促す。
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