日本が優れた技術を生み出しながら、競争力に劣るのはシステムとしての発想が足りないからと主張するのは東京大学の宮田秀明氏。同氏は電気自動車(EV)やLiイオン2次電池の普及においても、製品を単独開発するのではなく、社会システムとして設計することが重要という。(聞き手は林 達彦)

東京大学 工学系研究科 システム創成学専攻教授 宮田秀明氏

 大型のLiイオン2次電池の実用化によってこれまで貯められなかった電気を貯められるようになる。このパラダイムシフトは技術を変え、産業を変え、社会を変えていく。しかし、こうした変革は電池メーカーが電池を大量に造るだけでは実現できない。高品質で安全な電池は重要だが、それをEVに使うのか、定置用に使うのか。また、どう使えば社会システムの効率が高められるのかを考えなければならない。
 これには自動車メーカー、住宅メーカー、電池メーカー、IT企業、商社など様々な業種が集まって、共同でプランを練る必要がある。そこで、2009年に「二次電池社会システム研究会」を発足させ、電池を社会システムにどう生かすか、定置用としてどのように利用すべきかを研究している。

以下、『日経Automotive Technology』2010年11月号に掲載