スズキは2010年9月、世界戦略車である小型車「スイフト」を全面改良した。日本に続いて2010年秋には欧州、時期は未定ながらインドと中国でも生産・販売する計画。スイフトの世界での累計販売は180万台。生産台数で最も多いのは67万台のインドで、日本はインドに続く56万台だ。

 新型スイフトの最大の特徴は、軽量化と燃費の向上である。新たに開発したプラットフォームを採用して車両質量を10kg減らし、10・15モード燃費(2輪駆動・CVTモデル)は従来の21km/Lから23km/Lに増え、約10%向上した。軽量化に大きく寄与したのが高張力鋼板の使用である(図)。適用部位は従来と同等だが、最高強度は従来の590MPa級から1500MPa級に高めた。
 強度の高いタイプは、衝突安全性を確保する部位を中心に780MPa級、980MPa級、1500MPa級を配置。フロントピラーやルーフのクロスメンバに780MPa級、センターピラーとサイドシルに980MPa級、バンパービームとドアビームに1500MPa級を使う。
 1500MPa級の鋼板のみ、590MPa級の鋼板を熱間プレスで急冷させる(ダイクエンチ)ことで強度を上げた。980MPa級以下の鋼板は冷間プレスを使った。CAEを活用し、骨格構造の設計を見直したことで、ねじり剛性は約15%向上している。

以下、『日経Automotive Technology』2010年11月号に掲載
図 高張力鋼板を使う部位
先代は590MPa級までしか使っていなかった。新型は1500MPa級まで配置し、軽量化した。