電気自動車(EV)「リーフ」の発売を12月に控える日産自動車。同社が7月に報道陣向けに実施した先進技術説明会では、EV以外の環境技術や安全技術を紹介した。効率の高い新エンジン、ハイブリッド技術、自動ブレーキなど、EV抜きでも内容は多岐にわたった。

 日産自動車の先進技術の開発件数は、p.9でも紹介したように、従来に比べて大幅に増えている。先行技術開発を担当する常務執行役員の篠原稔氏によれば、「毎年15~20個の新技術を継続的に生み出せるようになった」という。
 これは主に三つの理由による。まず経営再建後、2003年から先行開発への投資金額を2倍に増やしたことだ。次に、2004年以降技術開発戦略を明確にしたこと。そして、2006年に先進技術開発センターを設立し、先行技術に関する開発の「場」を設けて多くの専任者を配置したことによる。

直噴+スーパーチャージャで燃費向上

 先進技術説明会では、環境分野で高効率の新エンジン、フーガハイブリッドの技術を紹介し、安全面では衝突防止を実現する自動ブレーキ、障害物検知機能などを公開した。
 新エンジンとして初めて見せたのが、排気量1.2Lのスーパーチャージャ付き直噴エンジン「HR12DDR」(図)。同エンジンは、2011年に欧州で「Micra(日本名マーチ)」に搭載して商品化する予定。今回は、新型「マーチ」に新エンジンと5速手動変速機を組み合わせた試作車を用意した。

以下、『日経Automotive Technology』2010年11月号に掲載
図 スーパーチャージャ付き直噴エンジン「HR12DDR」
2011年前半に「マーチ」の欧州仕様に搭載する。NEDC(New European Driving Cycle)モードでのCO2排出量は95g/kmを目指す。