ポスト新長期規制が進み、大型トラックでは継続生産車を登録できる時期が終わった。各社は規制に対応したエンジンを開発し、排ガス中の有害成分を約1/3にするという厳しい規制に応えてみせた。排ガスを浄化する手段として、これまでDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルタ)を使う“フィルタ派”、尿素SCR(選択還元触媒)を使う“尿素派”に分かれてきたが、規制値はあまりに厳しく、全員がフィルタ派、尿素の両方を装備、両派は合流した。それでも、後処理装置の組み合わせ、噴射の制御方法など、依然として大きな違いがある。

 2010年9月1日、GVW(車両総重量)12t以上のトラックは「ポスト新長期規制」を満たさないと売ることができなくなった。続いて、1年後の2011年9月からはもっと小さなトラックに対して同じ規制がかかる。それに備え、トラックを部分改良する発表が6月に相次いだ。
 ポスト新長期規制はPM(粒子状物質)、NOx(窒素酸化物)ともに排出量がこれまでの規制である「新長期規制」の約1/3という厳しいもの。測定方法などの問題があって正確には同じではないのだが、基本姿勢として“ガソリンエンジン車と差をつけない”水準だ。自然、排ガスの後処理装置も重装備になった。
 排気量がおよそ10Lを超える大型エンジンについては、新長期規制で、各社ともDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルタ)と尿素SCR(選択還元触媒)のうちどちらかを取り付けていた。つまり“フィルタ派”と“尿素派”の2派に分かれていた。フィルタ派は日野自動車といすゞ自動車、尿素派はUDトラックス(当時は日産ディーゼル工業)と、同社から技術供与を受けた三菱ふそうトラック・バス(当時は三菱自動車工業)。それぞれが自らの利点を強調し合っていた。
 ポスト新長期では、大型エンジンについては4社がすべてDPFと尿素SCRの両方を備えることになった。

以下、『日経Automotive Technology』2010年11月号に掲載