ガスクロマトグラフや太陽電池評価装置を手掛ける相馬光学は、その光分析技術を農畜産業に応用し、「食肉脂質測定装置」を開発した。牛肉や豚肉に含まれているオレイン酸の量を測定することで、肉質の判定に役立てる。さらに、廃棄食材から作る畜産飼料の成分測定装置も製品化する計画だ。

 食肉に含まれるおいしさのもととされる脂身の状態を、誰でも簡単に測定できる。そんな測定器を開発したメーカーがある。薬品や半導体分野向けに液体クロマトグラフ関連機器などを製造販売する相馬光学(本社東京都・日の出町)だ。

 同社はこれまで培ってきた光測定技術を脂身の成分分析に応用し、「食肉脂質測定装置」を2008年春に商品化した(図)。これを使えば食肉の品位検査コストを削減できる上、検査結果を生産者にフィードバックすることで、おいしい牛や豚の成育にも役立つ。この点が評価されて、畜産事業者や食肉加工事業者、地方自治体のなどに、既に40台が導入されている。

〔以下、日経ものづくり2010年10月号に掲載〕

図●「食肉脂質測定装置」による食肉の品位検査
測定は、牛肉の特定部位に近赤外線を発するプローブを押し当てるだけ。近赤外線を照射する部分は直径10mm程度の円形。測定は長くても10秒以内、ほとんどが3~5秒で終了する。写真は、長野県が実施している牛肉の等級判別検査の様子。写真:長野県