2010年10月号の本コラムp.79の「Q2」ならびに「Q3」のグラフ、p.78~p.79の本文に集計ミスがありました。お詫びして訂正します。以下に掲載するグラフと文章は訂正後のものです。

 高度な専門的応用能力を備えた技術者が取得できる国家資格「技術士」。医師や弁護士と異なり、業務独占資格(無資格での業務を禁じている資格)ではないため位置付けが確立されていない面もあるが、一部の企業で技術士を積極的に確保・活用しようという動きが見られる。

 例えば三菱電機は2010年から、技術系新入社員向けの研修に技術士関連の項目を盛り込み、同年秋の第1次試験の受験を奨励する。合格者には受験料を支払うという。そこで今回は、企業における技術士資格取得の支援状況や資格保有者に対する待遇を調査した。さらに、医師や弁護士と同じく、技術士も業務独占資格とすべきかどうかなども尋ねた。

 まず、勤務先が社員に技術士資格の取得を推奨しているかどうかを聞いた(Q1)。「強く推奨している」が7.5%、「緩やかに推奨している」が22.6%だったのに対し、「特に推奨していない」が54.4%と半数を超えている。三菱電機のように組織として推奨している企業は少数派といえそうだ。

 次に、資格取得を目指す社員に勤務先が何らかの支援をしているかを尋ねた(Q2)。支援項目の中で最も回答が多かったのは「受験料の補助・負担」(27.7%)。ほかの項目の回答率はその半分以下だった。「(特に支援は)していない」という回答は51.2%に達した。

 ここで、Q1とQ2のクロス集計を取ったところ、Q1で「強く推奨している」と答えた人の70.8%がQ2で「受験料の補助・負担」と答えており、「(支援を)していない」の回答は7.7%にとどまった。社員に対して資格取得を推奨している組織では、実際に何らかの支援をしていることがうかがえる。

 ならば、資格取得者に対する待遇はどうか(Q3)。「特にない」の回答率は60.6%で、Q2以上に高かった。何らかの待遇を設けている場合は、「一時金の支給」(18.3%)や「給与の増額」(9.3%)が多いようだ。

 Q3でもQ1とのクロス集計を取った。やはり、資格取得を推奨している組織ほど何らかの待遇を設けている場合が多い。加えて、待遇の中でも「一時金の支給」については資格取得の推奨の有無や程度にかかわらず比較的広く採用されているのに対し、「給与の増額」については「(資格取得を)強く推奨している」組織に限って36.9%と突出して高い。技術士の確保に積極的な企業では、資格取得者に長期的に報いるという意思があるようだ。

〔以下、日経ものづくり2010年10月号に掲載〕

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表●本文の正誤表
訂正個所の掲載位置
p.78右段最後の行~p.79左段1行目 回答率は5%未満だった。一方、 回答率はその半分以下だった。
p.79中の段4行目 「一時金の支給」(15.5%) 「一時金の支給」(18.3%)
同上 「給与の増額」(9.2%) 「給与の増額」(9.3%)