日本海事協会は、大型船舶の構造材/機器に使ったアスベストや鉛など有害物質の情報を、関連するメーカー(造船/部品/素材など)が簡単に登録・取得できるシステムを構築する。情報収集の手間を削減できる上、情報の不整合や改ざんを防げる。

 大型船舶では、リサイクルを安全に行うため、有害物質の使用個所や量の一覧表(インベントリ)を備えることが義務付けられている。日本海事協会はもともと船舶の品質を示す「船級」の認証機関だが、近年はインベントリの認証も手掛けており、インベントリ作成用の材料宣誓書(MD)や供給者適合宣言(SDoC)のひな型を無償で配布している。多くの部品/素材メーカーは、これらを使って有害物質情報を部品/素材の供給先に報告している。つまり現状では、有害物質情報は部品/素材と同様に、サプライチェーンを経由して造船メーカーに集まる仕組みだ。

 こうした仕組みでは、造船メーカーがすべての有害物質情報を収集するのに手間がかかる上、サプライチェーンを経由する過程で情報の同一性を維持できない恐れがあった。後者の具体例としては、途中で発生した変更が反映されなかったり改ざんされたりするといったことが挙げられる。

〔以下、日経ものづくり2010年10月号に掲載〕