「機動戦士ガンダム」で、モビルスーツのデザインを担当しました。私はアニメというバーチャルな世界のメカニックデザイナーで、リアルの世界の工業デザイナーではありません。だから、工業デザイナーと同じことをしていてもダメ。どこかに遊び心がないといけないんですが、私が心掛けているのは、ウソのないデザインをすることです。
実は、アニメのメカニック・デザイナーというのは、絵が好きなメカニック・デザイナーと、メカが好きなメカニック・デザイナーの2つに分かれます。業界に多いのは前者の方で、そういうデザイナーはどこから見ても美しいデザインをする。例えば、前と後ろは別物としてそれぞれをカッコ良く描く。ところがそれをやると、プラモデルにするときに面がつながらないなどの弊害が出てしまうことがあるんです。まあ、それでも、プラモデルの設計と生産の部隊の方で、うまく取り繕ってくれますけど。
〔以下、日経ものづくり2010年10月号に掲載〕(聞き手は本誌編集長 荻原博之)
メカニック・デザイナー