電力もデータも送れる

 「電力と一緒に,データも送れないか」──。電源ケーブルを使うことなく,無線で電力を供給するワイヤレス給電。その開発企業に今,こんな要望が機器メーカーから数多く寄せられている。想定する用途は,携帯型音楽プレーヤーやデジタル・カメラ,スマートフォンなど。給電台に置くだけで電力を供給しながら,デジタル・コンテンツも同時にやりとりできるようにして,ユーザーへの訴求力を高める狙いである。

 電力と同時にデータを無線で送れるようになれば,給電用やデータ伝送用の端子を減らせる。筐体デザインの自由度が向上して薄型化や防水対応が容易になるほか,コネクタの抜き差しが不要になり,機構部品の故障リスクも低減できる。

2010年内にも製品登場へ

 こうしたニーズにいち早く応えた技術が,このほど登場した。開発したのは,大阪に拠点を置くベンチャー企業の明日香エレクトロン。給電と同時に,最大120Mビット/秒の速度でデータ伝送が可能なワイヤレス給電システムを開発した。データ伝送速度は,試作機の実測で確認済み。既に大手家電メーカーの携帯機器への採用が決まっているという。早ければ2010年内にも対応機器が発売される見込みだ。

『日経エレクトロニクス』2010年9月6日号より一部掲載

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