940Mビット/秒のデータ伝送と約1.8Wの電力供給

 ディスプレイの高画素化や機器の多機能化が進み,データ伝送量が増えるとともに多くなる携帯機器内の配線数。だが同時に,ディスプレイ部が回転する折り畳み型やスライド型の携帯電話機のヒンジ部内,そしてビデオ・カメラのビュー・ファインダーの可動部内における配線数を削減したいという要求が強まってきた。機器デザインの自由度や信頼性,耐久性の向上を図るためだ。

 この要求に応えるために,ソニーは1対の差動伝送路で,映像や音声,制御信号といったデータの伝送と,電力の供給を可能にする技術を開発した。これにより,数十本も必要だったケーブルを1本に集約できる。

 ソニーは今回の技術を適用した送受信システムを試作し,効果を確認済み。具体的には,シールド付きの差動ケーブル(2芯)を利用し,940Mビット/秒という高速な半二重の双方向データ通信と,約1.8W(600mA×約3V)の電力供給が可能である。ケーブルやコネクタは,いずれも一般製品を利用できるという。

『日経エレクトロニクス』2010年9月6日号より一部掲載

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