これまでワーク・ライフ・バランス(WLB)支援に積極的に取り組んできた企業であっても、「今は社員のWLB支援どころではない」との声が聞かれる。その背景には、WLBおよびWLB支援の内容が正しく理解されていないことがある。業務改革や生産性向上とWLB支援は矛盾しない。そればかりか、後者は前者にも貢献するのである。
WLB支援は、社員に意欲的に仕事に取り組んでもらうために不可欠な施策である。WLBは仕事中心の生き方を否定し、仕事と同程度の時間を仕事以外の生活に使うライフスタイルを目指すものだと理解されることが多いが、これは大きな誤解である。
〔以下、日経ものづくり2010年9月号に掲載〕
東京大学社会科学研究所 教授