どんなに優秀な工場管理者でも、自社の工場に潜むムダを見つけ続けることは難しい。現場の状況が「当たり前」になり、ムダを見抜く目が曇りがちになるからだ。今回は、そんな管理者が気を付けたいポイントを学ぶ。
今回から、電子部品や医療機器の組み立てなどを手掛けるアルファ電子(本社福島県・天栄村)にカイゼンの舞台を移す。同社は2007年から、山田日登志氏の現場指導を受けている。
「7月○日に、そちらにうかがいます」
2010年7月某日、山田氏は同社社長の樽川久夫氏に何の前触れもなく電話を入れた。同社のカイゼンの進ちょくが気になっていたのだ。
そして当日。工場のドアを開けると廊下があり、その右手にガラス張りの部屋がある。山田氏はその前で立ち止まり、ガラスの向こうにいる1人の作業者の動きをじっと見つめた。
「君ら、あの作業者の動きのどこにムダがあるか分かるか?」
そばにいた管理者たちに問う。山田氏が見抜いたムダとは…。
〔以下、日経ものづくり2010年9月号に掲載〕