【強さの秘密】端材が少なく、安定した品質が確保できる金属リングの製造方法を独自に開発し、いまや自動車用リングギアでは世界シェアの15%を握る。韓国や中国などアジアにも生産拠点を拡大。その活動を本社でコントロールし、コストと品質を保っている。

 ベンダ工業は、自動車のエンジンに使う始動用リングギアの生産で世界のトップシェアを誇る。それを支えているのが、丸棒の鋼材から真円リングを造る独自の工法である「ベンダ工法」だ。

 もともと持っていた冷間曲げの技術を応用して開発した。原材料の歩留まりが92~95%というのがウリで、20~70%程度のプレス打ち抜きやパイプ切断、鍛造成形などの他工法と比べても群を抜いて高い。加えて、機械化による高い生産効率も自慢だ。

 真円リングは、冷間圧延→曲げ→切断→溶接→熱処理→矯正の工程で造る。丸棒の鋼材をローダで長尺鋼材に冷間圧延し、所定の径に曲げながららせん状に巻く(図)。鋼材をらせん状のまま切断機にかけ、らせんの軸方向に沿って切れ目を入れて1本ずつのリングに切り分ける。次に切れ目を溶接して平らなリングにし、溶接部をトリミングした後に熱処理炉で焼鈍して内部のひずみを除去。最後にプレス機でゆがみなどを矯正して、真円度が±0.3~0.5mmの金属リングに仕上げる。これがベンダ工法である。

〔以下、日経ものづくり2010年9月号に掲載〕

図●冷間圧延ライン
丸棒線材をローダで長尺鋼材に塑性加工する。