雑誌 特集

攻めの研究開発

野澤 哲生,清水 直茂,大下 淳一=日経エレクトロニクス
2010/08/20 09:00
 

組織と人材の両輪で
いざ新規事業分野へ

 国内の大手エレクトロニクス関連メーカーが,「攻め」の研究開発戦略を打ち出し始めた。グローバルな競争が激化する中,既存の事業だけではジリ貧になると判断した各社が,雪崩を打って新規分野に参入しつつある。その多くが,事業の単なる多角化ではなく,研究開発体制を大胆に変えることで製品開発の大幅なスピードアップと効率化を図ろうとしているのだ。

 各社が新規参入しているのは,「環境/エネルギー」「医療/ヘルスケア」「クラウド/電子書籍」といった市場である。いずれも,現在急成長中,あるいは近い将来急成長することが確実な分野だ。こうした状況下で,研究開発現場が大きな壁にブチ当たっている。家電やコンピュータといった従来のエレクトロニクス製品とは,求められる技術が様変わりすることだ。

『日経エレクトロニクス』2010年8月23日号より一部掲載

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第1部<組織改革>
新市場のカギは技術の多様性
CTOがテーマ策定を指揮

国内メーカーの研究開発部門が大きく変わりつつある。実行力を備えたCTOが,新市場に向けた研究開発戦略で陣頭指揮を執る。時には研究者と直接対話して,研究の方向性を指し示す。一方で,非中核テーマの基礎研究などは外部委託を大胆に進める。

各社で異なる新規分野へのアプローチ

 「我々はもはや家電メーカーではない」──。パナソニック 代表取締役専務の野村淳二氏は,同社が2010年7月末にパナソニック電工と三洋電機を完全子会社化すると発表した直後に,こう断言した。

 パナソニックは2009年に「世界ナンバーワンの環境革新企業」になると宣言し,環境/エネルギーやクラウドといった新規事業分野に参入する方針を明らかにした。こうした動きを加速するために今回,家やビル周りの照明や空調システム,情報システム,さらには給湯や電力線といった設備系システムを手掛けるパナソニック電工,そして2次電池や太陽電池の技術に強い三洋電機を完全子会社化という形で傘下に収めた。

 短焦点プロジェクターを使えば,所望する大きさの映像を得るために必要な距離が短くて済む。スクリーンのそばに設置できるため,通常のプロジェクターよりも配置の自由度が高い。ピコ・プロジェクターであれば小さくて軽いので,持ち運べて設置が容易,あるいは身に着けたりして利用可能だ。現在,プロジェクターはこの2種類を中心に,さまざまな新技術が投入されている。

 一連の動きで特筆すべきは,完全子会社化に先んじて,パナソニックが研究開発体制の抜本的な改革に着手している点である。同社にとって重要性が高く,しかも緊急性を要する技術開発を極めて短期間に行うことをミッションとする全社横断組織「イノベーション推進センター」を,2010年4月に新設したのだ。同センターには,既にパナソニック電工や三洋電機からも研究者が集められているという。これは,パナソニックとパナソニック電工,三洋電機のシナジーを最大化する動きが,研究開発の現場レベルで既に始まっていることを意味する。この3社が一丸となって,「攻め」の一手を繰り出したわけだ。

『日経エレクトロニクス』2010年8月23日号より一部掲載

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第2部<人材確保に向けた改革>
技術者不足の解消に向け
育成と協業,スカウトを加速

環境/エネルギー分野や医療分野といった新たな事業の柱を構築しようとしているエレクトロニクス関連メーカー。目下の悩みのタネは,新規分野の研究開発を手掛ける技術者が足りないことである。解決に向けた各社の試みを紹介する。

自社の技術者だけでは足りない

 エレクトロニクス関連メーカーの間で,技術者不足への懸念が高まっている。「研究領域が広がったことで,自分たちだけではカバーし切れなくなる」(ソニー 業務執行役員 SVP 研究開発・共通ソフトウェアプラットフォーム担当,技術開発本部 本部長の島田啓一郎氏),「成長市場で求められる新たな技術領域を手掛けるには,技術者が足りない」(村田製作所 取締役 常務執行役員 技術・事業開発本部 本部長,次世代技術研究所 所長の家木英治氏)と,各社が危機感をあらわにする。

 背景には,環境/エネルギー分野や医療分野といった新分野に各社が舵を切り始めていることがある。これまでエレクトロニクス分野向けに培ってきたコア技術だけでは対応しにくいため,異分野の知識や経験を求めるニーズが急速に高まっているのだ。

 このニーズを満たすべく,エレクトロニクス関連メーカーは大きく三つの策を講じる。(1)社内技術者の有効活用,(2)他の企業や研究機関と協業する「オープン・イノベーション」の推進,(3)新分野に通じる技術者のスカウト,である。社内技術者の有効活用を中核に据えつつ,開発の効率化を狙って外部との協業や,開発のスピードアップを目指して「異才」のスカウトを加速させる。

『日経エレクトロニクス』2010年8月23日号より一部掲載

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第3部<インタビュー>
14人の研究開発トップが語る
新分野に挑むための秘策

新分野に打って出る国内エレクトロニクス関連メーカーで,研究開発体制の改革を取り仕切っているのがCTOだ。総合電機大手各社に,半導体・電子部品や部材・素材などの専業メーカーを加えた14社のCTOに今後の戦略を聞いた。

『日経エレクトロニクス』2010年8月23日号より一部掲載

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