酒の種類と超電導へのなりやすさの関係

 ある種の無機化合物を酒に浸し,約70℃で24時間加熱したら臨界温度(Tc)が8K(-265℃)の超電導物質が得られた,という珍しい発表を,物質・材料研究機構(NIMS)が2010年7月27日に行った。

 研究対象の物質は,2008年に東京工業大学のグループが発見した鉄系超電導体の派生物質。反強磁性体で通常は超電導が発現しないFeTeに,SをドープしたFeTe1-xSxである。この物質は,溶融法で作ると超電導になるが,固相法で作ると超電導にならない。同じ組成でも,超電導になったりならなかったりする特性は,いまだにメカニズムが解明されていない高温超電導の研究に適している。

『日経エレクトロニクス』2010年8月23日号より一部掲載

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