2Xnm世代以降の旗艦工場に

 「2008年秋のリーマン・ショックの後,最も早く需要が回復した電子部品はNANDフラッシュ・メモリだった。現在は,SSDや電子書籍端末などへ,アプリケーションのすそ野が急速に広がっている。これに応えるために,今こそ新工場を着工すべきと判断した」(東芝 執行役上席常務 セミコンダクター社 社長の小林清志氏)──。

 NANDフラッシュ・メモリの市場シェアで韓国Samsung Electronics Co., Ltd.に続く第2位の東芝が,次の10年を見据えた新製造棟「Fab5」の建設を三重県四日市市で開始した。「Fab3」と「Fab4」に続く3番目の300mmウエハー対応ラインで,米SanDisk Corp.と折半出資する。東芝は2010~2012年度に半導体事業に約5000億円を投資する計画であり,大半をFab5に投じる。

 東芝は当初,Fab5について2009年春に着工する予定だった。ところが,リーマン・ショック後にNANDフラッシュ・メモリが供給過剰に陥った結果,延期を余儀なくされた。その後,需要は「2009年4~6月から回復に向かい,同年7~9月には工場がフル稼働の状態になった」(東芝)という。旺盛な需要を受けて,同社は2009年後半以降,新製造棟の着工時期を見計らっていた。

『日経エレクトロニクス』2010年8月9日号より一部掲載

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