製造派遣の禁止を含む派遣法改正が参議院選挙後の臨時国会で審議される予定である。改正法が成立しても、製造派遣の禁止は法施行後3年の予定なので、段階的に対応するための時間はある。この時間を使って、リーマンショックまで派遣社員への依存度を高めてきた製造や設計現場における人材活用の在り方を見直す必要がある。
他方で、派遣企業や請負企業など人材ビジネスが提供する「ものづくり支援サービス」を欠いては、製造企業の製造部門や設計部門の業務が立ち行かないという事実を直視しなければならない。今や、自社の直用社員(正社員や有期契約社員など直接雇用する社員)と人材ビジネスの外部社員(派遣社員や請負社員)の適切な組み合わせと連携が、ものづくりの競争力を支える時代となっている。
〔以下、日経ものづくり2010年8月号に掲載〕
東京大学社会科学研究所 教授