設計データの3次元化に伴い、RP用3次元造形装置の普及が加速している。中でも、単に形状の確認や干渉のチェックだけではなく感触や摩擦、強度などの機能試作を重視した装置や、500万円を切るような比較的低価格の装置が台頭しており、2010年6月23~25日に東京で開催された「第21回 設計・製造ソリューション(DMS)展」でもそうした機種が目を引いた。

 機能試作を狙った新しい装置の1つが、Zコーポレーションジャパン(本社横浜市)が2010年7月に出荷を開始したZ社の3次元造形装置「ZBuilder Ultra」だ。Z社はもともと粉末材料をバインダで固めるタイプの装置を主力製品としていたが、「機能試験に使いたいとの強いニーズに応えて開発した」(米Z社CEOのJohn M. Kawola氏)という。

 材料に光硬化性のABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)系樹脂を用いており、造形品は射出成形によるABS製品と同様の強度とじん性を持つという。価格は498万円(税込み)。独Envisiontec社の造形技術や樹脂技術を取り入れて共同開発した。

 積層厚は最小50μmと薄く、比較的滑らかな表面の造形品が得られるため、日用品などの少量生産にも使えるとしている(図)。

〔以下、日経ものづくり2010年8月号に掲載〕

図●「ZBuilder Ultra」で造形したモデル
最小積層厚は50μm。汎用のABS樹脂と同等の物性の樹脂を用いており、強度やじん性などを評価できるとしている。比較的滑らかな表面の造形品が得られるため、少量生産にも向くという。