韓国では2010年4月から都市型EV(電気自動車)の公道走行が指定地域で可能になった。この都市型EVの量産第1号の開発・生産を手がけるのが、EVベンチャーの韓国CT&T社だ。同社の戦略を明らかにするとともに韓国のEV研究を先導する研究機関のKAISTを訪ねた。

 韓国は経済危機克服のために2009年1月、李明博大統領が「グリーンニューディール推進方策」を発表した。2012年までに約50兆492億ウオン(1ウォン0.075円換算で、3兆7869億円)の国家予算を投じて96万人の雇用を創出しようというものだ。
 グリーンな交通網の拡充、スマートグリッド、環境車関連およびグリーンエネルギ事業などの9事業と、関連する27の事業で構成する。グリーンな交通網では高速鉄道や自転車専用道路を整備し、グリーンカー(ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車)を2012年に6万8000台普及させる。
 政府の方針を受けて、ソウル市も公共交通のグリーン化を進めている。2009年12月に世界で初めてLPG(液化石油ガス)ハイブリッド車のタクシー10台の運行を始めたほか、市内電気バスの導入など、2020年までに市内のすべての公共交通機関をハイブリッド車またはEVに切り替えていく方針だ。
 民間企業のグリーンカー開発も活発化している。最大手のHyundai Motor社はすでに市販しているLPGハイブリッド車に加えてEVも発売する予定。Aセグメント車の「i10 EV」を2010年8月、韓国に導入する。
 また、韓国政府は電気自動車の普及に向けた自動車管理法を整備し、2010年4月1日から「City EV(都市型EV)」と呼ぶ最高速度60km/h程度の低速EVの公道走行を認めた。これにより、韓国内でいち早くEVの製造に参入していたCT&T(Creative Transportation&Technology)社の「e-ZONE」が量産第1号となった(図)。

以下、『日経Automotive Technology』2010年9月号に掲載
図 韓国CT&T社の電気自動車
左端がゴルフカートをベースとした「c-ZONE」、右側が都市型EVの「e-ZONE」。