急速に普及している簡易型カー・ナビゲーション・システムのPND(ポータブル・ナビゲーション・デバイス)。これまで上級カーナビと機能面で大きな差があったが、その差が一気に縮まろうとしている。各社が通信機能付きPNDを投入することで、リアルタイムの渋滞情報および地点情報、さらに地図の更新といった機能を備え始めたからだ。日本ではナビタイムジャパンが同PNDに参入、パイオニアも新製品を投入した。欧米の大手メーカーもすでに対応しており、今後はPNDの通信機能が当たり前になりそうだ。

 国内のカー・ナビゲーション・システム市場で急速に増えているPND(ポータブル・ナビゲーション・デバイス)。2006年にはわずか32.8万台だったが、2009年には100万台に到達した。PNDでシェアトップの三洋電機の予想では2010年はPNDが125万台に達するという(図)。
 PNDの一番のメリットは数万円で購入できる価格の安さ。ただし、表示画面の大きさ、地図データの容量、オーディオ・ビジュアル機能などは上位機種に劣り、地図の新しさや渋滞情報の取得機能においても差があった。
 高機能な純正ナビや市販ナビでは、通信機能を備えたトヨタの「G-BOOKmX」やホンダの「インターナビ・プレミアムクラブ」、パイオニアの「サイバーナビ」などで地図更新や渋滞情報をリアルタイムで利用可能だ。一方、PNDでは地図更新はSDカードなどを経由する必要があり、渋滞情報についてもFM VICS(Vehicle Information and Communication System)に対応する機種はほんの一部だった。
 しかし、ここに来て日本、海外で通信機能を備えたPNDが相次いで登場し、上位機種との機能差が一気に縮まろうとしている。国内ではナビタイムジャパンが新規に参入し、パイオニアも新機種を発売した。

以下、『日経Automotive Technology』2010年9月号に掲載
図 カーナビの国内市場予測
2010年度はPNDが125万台となり、全体の1/4に達すると見ている。(出典:三洋電機)