車載Liイオン2次電池を高性能化する、次の電極材料が注目を集めている。国内では電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)の発売が始まったばかりだが、早くも2012~2015年ごろに車載用で実用化を狙う、次の電極材料が固まってきたからだ。次世代材料に求められるのは、劣化が少なく寿命が長い電池、一度の充電で長時間使える高容量の電池である。

 「この1年間で、車載Liイオン2次電池の寿命に対する要求が飛躍的に高まった。次世代電池では、これまで以上に寿命を重視した電池を設計せざるを得ない」(GSユアサ事業統括本部部長の中満和弘氏)──。最近、電池メーカーや自動車メーカーの多くが、これまで以上に寿命を重視した開発を進めている。
 国内では2009年から2010年にかけて、三菱自動車の電気自動車(EV)「i-MiEV」、トヨタ自動車のプラグインハイブリッド車(PHEV)「プリウスプラグインハイブリッド」、日産自動車のEV「リーフ」など、電動車両の実用化が相次いでいる。
 これら現行のクルマは、電池の電極材料として正極材にMn(マンガン)系やNi(ニッケル)系、負極にはグラファイト(炭素)を使っている(図)。電池の電圧は3.7V程度と比較的高く、寿命も車載用で使える5年10万キロ以上を想定している。
 自動車メーカー各社ともに電池の材料として最も適していると判断したものを実用化しているが、一部自動車メーカーや電池メーカーを中心に、2012年~2015年までに、次世代材料を実用化しようとの動きが早くも出てきた。

以下、『日経Automotive Technology』2010年9月号に掲載
図 Liイオン2次電池の電極材料(正極材、負極材)の現状と今後の方向性
(a)現在のEV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド車)。(b)2012~2015年ごろには、正極はLFP(リン酸鉄リチウム)、負極はLTO(チタン酸リチウム)やSi(シリコン)系材料の採用が見込まれる。
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