欠けていたピースが埋まった

 ルネサス エレクトロニクスが,積極策に打って出た。同社はフィンランドNokia Corp.から,ベースバンド処理技術を開発するワイヤレス・モデム部門を約2億米ドルで買収する。「我々の携帯機器向け半導体事業において,唯一欠けていたのがベースバンド処理の部分だった。海外での売上高を伸ばすという全社的な目標に向けた戦略の一環だ」(ルネサス 執行役員 兼 SoC第二事業本部長の茶木英明氏)。事業譲渡は,2010年第4四半期に行う予定である。

 ルネサスの鼻息は荒い。アプリケーション・プロセサやパワー・アンプ,RFトランシーバICなどを含む同社の携帯機器向け半導体の事業は,2009年度の売上高が約1000億円である。今回の買収で同事業を成長軌道に乗せ,「2015年度に売上高を4倍程度に拡大する」(茶木氏)という意欲的な目標を掲げる。

LTE導入に備えて

 これまでNokia社は,自社のワイヤレス・モデム部門で開発したベースバンド処理技術を半導体メーカーにライセンス供与し,ベースバンド処理LSIを入手してきた。ルネサスは同部門を買収することで,ベースバンド処理用ハードウエアおよびソフトウエアの設計資産と,関連特許を手に入れる。

『日経エレクトロニクス』2010年7月26日号より一部掲載

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