初代機の投入から3年半。
世界で累計5000万台以上が販売されたiPhoneシリーズの第4世代品として,Apple社が発売した「iPhone 4」。
当初のような革新性はさすがに薄れてきたものの,分解してみると,これまでとは一線を画した設計手法が見えてきた。

iPhone 4の構成部品

 「米Apple Inc.の歴史の中で最も成功した製品」。同社 CEOのSteve Jobs氏がこう位置付けるのは,2010年6月24日に発売された「iPhone 4」である。発売開始から3日間で,世界で170万台を販売した。iPhone 4は,新型OS「iOS 4」の採用でマルチタスクに対応したほか,電子書籍用アプリケーション「iBooks」やビデオ通話機能の搭載など,従来機種よりも使い勝手を高めた。

 一方で,iPhoneシリーズは成熟期を迎えようとしている。iPhone 4の発表時にJobs氏が強調したのは,9.3mmという端末の薄さや,326ppiというディスプレイ精細度の高さなど,ハードウエアの仕様だった。「仕様の強調に走るなんて,Apple社らしくない」(国内の技術者)といった声も多く聞かれた。

 ところが,ソフトバンクモバイルが発売した日本版iPhone 4(32Gバイト品)を入手した本誌分解班を待っていたのは,従来機種と比較してガラリと変わった“中身”だった。それぞれ専門分野が異なる複数の技術者の協力を得て実施した分解調査からは,以前より格段にキメ細かくなったApple社の設計手法が見えてきたのである。

『日経エレクトロニクス』2010年7月26日号より一部掲載

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