製品評価技術基盤機構(NITE)はこのほど、1万2332件に及ぶ事故情報の分析結果を公表した。そこで明らかになったのは、ユーザーの誤使用や不注意などを原因とする事故が依然多いこと。特に、ガスコンロなどの「燃焼器具」や洗濯機といった「家電製品」で目立つ。この事実は、何を意味するのか。改めて、製品設計の在り方を見直す必要がありそうだ。

 1万2332件の事故は、NITEが2006年4月から2009年3月末にかけて収集した。これを原因別に見ると、「製品に起因する事故」が41.7%(5148件)と最も多く、「製品に起因しない事故」が28.8%(3553件)と続く(図1)。このうち、NITEが注目したのは、後者の製品に起因しない事故。「3553件の中の2926件、すなわち8割以上はユーザーの誤使用や不注意が原因になっている。看過できないのは、被害の程度が製品に起因する事故より大きくなる傾向にある点だ」(NITE製品安全センター参事官の長田敏氏)。

 そこで改めて、死亡事故に絞って原因を見てみよう。調査対象となった中で死亡事故は403件発生している。そのうち、「使用者の誤使用や不注意によるもの」が48.4%(195件)とダントツの1位だった(図2)。これに対して、重大製品事故を含む、製品に起因するものは6.7%(27件)と比較的少なかった。死亡事故だけではなく、重傷に至った事故でも同様の傾向が見られるという。

〔以下,日経ものづくり2010年7月号に掲載〕