あえて賃上げ

 台湾Hon Hai(鴻海)グループが,40万人以上が働く中国・深セン工場を対象に,大幅に賃金を上げる。最低賃金を2010年10月から,原則として月2000元(約2万7000円)にする。同年5月までは900元だった。各種手当てを含めた新賃金は「4200元(約5万7000円)となる。これは,台湾の最低賃金である月額1万7280台湾元(約4万9000円)よりも高い」(台湾Y’s Media(威志媒體)社)。

 今回の賃上げは,若年労働者が相次いで自殺するという異常事態の後に発表された。この狙いは「過酷な労働が自殺の原因」という憶測に対応することだけではない。最大の狙いは,風評による採用難→納期遅延→顧客離反という事態を防ぐことだ。

『日経エレクトロニクス』2010年6月28日号より一部掲載

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