メーカー各社に、ITシステムの導入・推進体制を強化する動きが見られる。これまでは、3次元CADなどのITツールを各部門が個別に導入し、その活用を推進する「普及期」といえる。だが、それだけではなかなか競争力の強化につながらない。そこで同体制を見直し、各部門に行き渡ったツールやそれによって蓄積した情報を部門間で連携させることに軸足を移し始めているのだ(図)。

 これまでも、そうした動きがなかったわけではない。だが、システム導入・推進の機能が各部門に点在していると、連携を進めようにも壁がある。そこで、システム部門に人材や権限などを集中させ、組織として本腰を入れて連携を進める企業が出てきている。IT推進のために組織体制を大きく変えたニコンとリコーが代表格だ。両社は共に、2010年4月1日付の機構改革でIT関連部門を大幅に強化している。

〔以下、日経ものづくり2010年7月号に掲載〕

図●「普及期」から「連携期」へ
ITシステムの導入・推進において、活動の内容やツールに求められることが変化してきている。
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