NECエレクトロニクスとルネサス テクノロジが経営統合して,2010年4月1日に発足したルネサス エレクトロニクス。合併前の2社の単純合算で2008年度に約1630億円,2009年度に約1133億円の営業損失を計上するなど苦しい経営が続いていたが,折からの構造改革や昨今の景気回復を追い風に,統合初年度(2010年度)から営業黒字化を目指すとしている。同社が反転攻勢に向かうための試金石になるのが,現在実行中の「100日プロジェクト」である。事業ポートフォリオの最適化,開発環境/設計プラットフォーム/プロセスの統合,生産体制の再構築を軸に,経営統合後100日間で「事業仕分け」を自ら行っている。新会社の代表取締役社長に就任した赤尾氏に,意気込みなどを聞いた。(聞き手は日経エレクトロニクス編集長 田野倉 保雄,同副編集長 大石 基之)

(写真:木村 輝)

── 社長に就任した赤尾さんの最大のミッションは何でしょうか。

 何といっても「100日プロジェクト」で成果を出すことです。我々がまず取り組むべきは,NECエレクトロニクスとルネサス テクノロジが統合したことの効果を具体的に把握し,何をいつまでにどうするかを決めて,しっかりと実行することです。これを新会社発足後の3カ月でまとめ上げようというのが,100日プロジェクトです。この着実な遂行こそが,私に課せられた最大のミッションと考えています。

── 100日プロジェクトの焦点の一つが,NECエレクトロニクスとルネサス テクノロジで重複気味の製品系統の絞り込みにあると思います。その基本的な方針を聞かせてください。

 私は「製品をなくしていきなさい」とは言っていません。製品そのものには,バリエーションがあった方がいい。ただ,その製品を継続するための開発,例えば世代ごとの技術開発や付帯的な開発といったものが,2本並行して走るのは困る。従って,今,2本大きなものが走っている場合,いつの時点でどう一緒にしますか,ということを求めています。

『日経エレクトロニクス』2010年6月14日号より一部掲載

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